2007-07-09

VCTのVの意味とCとDの順序

VCTという言葉を知ってますか?

Voluntary Counselling and Testingの略で自主的にカウンセリングを受けて
テストを受けるHIVの検査のことを言う。

自主的っていうところが重要なんだけどこの本当の意味をようやく知った。

エイズは主にセックスで感染するし、売春やゲイなんかと結びついてしまって
差別に繋がりやすい病気だ。

だから強制的に検査を行うことは好ましくない。

って思ってた。



ここに来てPITCという用語が使われるようになってきた。

Provider Initiated Testing and Counsellingの略で医療者側が主導権を持って
検査を行おうというもの。

ここで注意したいのはCounselling and Testingではなく
Testing and Counselling だってところ。

VCTはカウンセリングを受けてからテストするからVCT。
でもこのPITCはテストを受けてからカウンセリングを受けるのでPITC。

これまでも医師がHIV感染の可能性が強いと判断した場合は
患者にテストを受けさせることもあった。

こうした流れを一気に進めたのがこのPITC。

こうした流れは俺はようやくエイズのスティグマ(差別)が減ってきたからだと思った。

実際のところはまだまだエイズに対する差別は根強いけれどどんな差別でも根絶する
ことなんかありえない訳だから、タイミングを計らって次のステップに進もうとして
いると思った。

でも、そうじゃないんだね。

理由はもっと現実的で説得力のあることだ。


エイズは治癒できない。
ARVだってちょっと前までは途上国の人には届かない薬だった。

そんな病気だからこそ強制的に検査はできないんだ。


"あなたはHIVに感染してますよ。死にます。私には何もできません。
感染者を増やさないようにコンドームをつけてください。"


公衆衛生学上そんなことしか言えない検査を強制させるわけにはいかないのだ。

だけどこれ以上感染を広げるわけにはいかないから、

できるだけ検査を受けてもらおう。
正しい知識を持ってもらおう。
差別をなくして検査を受ける人を増やそう。

というのが今までのエイズ対策の実際だった。
大切なことだけどそれだけでは病気はなくならない。

今はARVもほとんどの国で無料で配られるようになった。
ケニアの場合は各県に最低一つは感染後のケアをする施設がある。
まだまだ十分ではないにしろかなりの田舎にも施設はできてきてる。

治癒はできないけれど上手に付き合っていけば命を失うことのない病気になった。

そんな状況になった今、待ってるだけという検査はどうだろう?

すでにエイズが発症していて"もう死んじゃう。。"
って状態でようやくテストを受ける人が少なくない。

そうした人はいくら薬を飲んでもやっぱり助からない。

できるだけ早く多くの人の感染を見つけて適切な処置をすることが求められているのだ。

そういう状況でPITCという概念が生まれてきた訳です。

納得ですよね。


だけど、やっぱりエイズは他の病気とは違う。

差別も根強いし、社会的な問題も大きく関わってくる。

WHOのPITCのガイドラインには"クライアントが拒否した場合は検査してはならない。"
ってことになってるけれどどうなんだろうか。

マラウィやボツワナのような感染率の高い国などでは

"そんなこと言ってられない!"

っていう感じで検査がルーティン化して行く傾向にあるという。

その気持ちはよくわかる。

だけどエイズという問題は病気だけの闘いで終わらせてはならないと俺は思う。

社会問題も含めてエイズと戦わなければたとえエイズを根絶できたとしても
おそらく新たな病気が発生するんじゃないかと思うのです。

それも、もっと厄介な奴が。

エイズという病気を考えるといつも俺はガイア思想者になってしまう。

エイズは人類を試している。ってね。

PITCの行方が気になるところです。



2 コメント:

Hadija さんのコメント...

今でもDTC(Diagnositic Testing&Counseling)って使っているのかな?去年はTBクリニックとかでDTCがかなり主流だった。でもこのDTCも一昨年まではDCTだったんだよね。そう、TとCが入れ替わった。TBクリニック以外でも今後その流れを拡大していくんだろうね。ケニア以外でも、今医療者からInitiateする検査を広げる動きみたい。

PICTのメリットももちろんあるだろうけど、怖いのはそっちばかりに集中してしまうこと。私がいたときはすでにDTCとPMTCTにだいぶ力を入れていて、うちらのVCT系の活動にはほとんど予算もつかないし、って状態だった。

PICTを推し進めるには、Positiveケースを見つけた後の対応を強化しないと、とても危険。ARVをばら撒くだけでなく、その後のフォローが大事なんだよね。薬だけじゃHIV(+)は生活できない。あと、もっと怖いのは、今のARVに耐性がでてきたら。ウィルスなんて形を変えていくし、投薬管理が危うい状態でどんどん薬を配っていくのは非常に懸念されること。でもARVを配ることで、「成果」を評価されてしまう状況を悲しく感じたなぁ。(去年私がケニアにいある間。そしていまもずっとその流れかも?)

もちろん現場でがんばっている人もいる。ARVのメリットもある。でも、すでに慢性疾患として考えられてきたHIV・AIDSだからこそ、長期に向き合う方法を考えないといけない。もちろん援助する側でなく、そのサービスを受ける人の立場にたって。

こんなことを考えるとつい熱くなっちゃう!

Tef-Tef さんのコメント...

DTCももちろん行われてるよ。
PITCはDTCとかPMTCTとかを含めた総称みたい。
WHOのガイドライン作りにケニアが大きく貢献したみたいでこのPITCにケニアは誇りを持っているんだって。
だから、ケニアは率先してこのPITCを進めて行くんじゃないかな。

ホント熱くなっちゃうよね。こういう話題。
まぁ、話せる相手も少ないけどさ。。