旅人よ、道を見失うなかれ
旅人と出会った。
彼は旅を続けて9年余り。
世界中を旅しながら世界のマッサージを身につけているとのこと。
旅人の話がいつもそうであるように彼の話は俺を想像の旅へと誘い、
自分が今まで辿ってきた旅と照らし合わさせてくれる。
そんな時間がまた俺と旅人の旅の1ページとなっていくのだ。
しかし残念なことにときに旅人は自分を見失い、流されていく。
自分が流されていることを自覚していればそれは悪いことではない。
流されることを楽しむこともまた旅の醍醐味でもある。
だが、流されていることに気がつかずに流されるのは危険だ。
"この道が俺の進むべき道である。なぜならそこに道があるから"
ときとして旅人は道なき道を進まなければならない。
道がないのなら道を作らなければならない。
目的地へと辿りつくための道を。
目的地の無い旅は旅ではない。
帰るところが無い旅は旅ではない。
彼は今アフリカで協力隊を巡る旅をしている。
彼が見せてくれた写真には俺の知った顔が多数あった。
ほとんどの国で彼は協力隊に歓迎され、その活動を間近に経験し、
その友人をまた訪ねては歓迎されてきたという。
その旅はガイドブックにも載ってない小さな村を巡りアフリカの人々と
触れ合う旅であったことであろう。
しかしそれは彼が切り開いた旅でもなければ彼がアフリカ人と触れ合ってるわけでもない。
彼にとってのアフリカは決して彼のアフリカではなく協力隊としてのアフリカだ。
彼が協力隊に甘えてしまったのか、協力隊が彼を甘えさせてしまったのか。
とにかく彼は今、道を誤っているのだ。
旅人よ、道を見失うなかれ。己から目を背くなかれ。
さもなくば旅をやめたまえ。
旅をして見えてくるものはたくさんあるけれど
その全てが旅をしなければ見えないものではないはずだ。
