
今日Dr.GがKenyaを発った。
次に彼に会うのはいつ、どこなのだろうか。
彼には本当にお世話になった。
歳は俺なんかよりも20くらい上。
アメリカの超一流大学の博士号を持ち、若くして国際機関のトップや大使館で
働いたりと普通にしてたら俺とは住む世界が違う人だ。
職場は違うけどひょんなことからご近所として生活することになった。
とにかく世話好きで、話し好き。
どんどん人の領域に入り込んでくる。
最初は正直苦手だった。
それにケニアに来てまでしょっちゅう日本人と一緒にいるのも何となく嫌だった。
だけど、ケニアに来て8ヶ月くらいたった頃だったと思う。
ケニアでの期待を打ち破られ、嫌なことばかり身に降りかかり、
自分の心が荒れかけていた頃だった。
その頃の俺は自分のことで精一杯で相手の気持ちを思いやる余裕が無かった。
いや、俺は今まで自分のことしか考えていなかったというほうが正しいかもしれない。
そんな俺に彼はこう言った。
"コージ君は人に感謝するってことを理解していない"
一瞬めんどくさいと思った。
"こんな状況で人のことまでかまってられるか!"
"俺にこれ以上かまわないでくれ!"
ちょうど住居の契約問題でもめていた頃だったし
引っ越してしまって彼から距離を取ろうとも考えた。
だけど、その彼の言葉が忘れられなかった。
その頃の俺は人に感謝するって意味をかなり意識していたし、
わかっているつもりだったから。
そして俺は思った。
"ここでこの言葉から逃げてはいけない"
だけど、本当にその頃はこれ以上自分を追い込んだら潰れると思った。
どうしていいかわからなくなった。
思い切ってその正直な気持ちを彼にぶちあけてみた。
"確かに、俺は人に感謝するってことわかっていないのかもしれません。
でも、俺は人に感謝する気持ちを持っているつもりなんです。
きっと、それを表現する方法を知らないんだと思う。
そして、今の俺にはそれができる自信が無いんです。
すぐには変われないと思う。
だけど、感謝するってこと俺なりに考えて行きたい。”
それを聞いて彼はこんなことを言った。
"俺が君の年の頃は正直言って誰にも感謝なんかしてなかったんだよ。
すぐじゃなくて良いんだよ。"
そしてそれからも、ことあることに俺を叱ってくれた。
だんだんと彼のことが好きになっていった。
だけど俺から彼を飲みに誘ったことはなかった。昨年末までは。
彼には奥さんがいるし、仕事で忙しいから。
昨年末。俺はちょっとしたことで完全に自分を見失っていた。
自分がどんな行動を取るか自分でもわからない状況だった。
きっとまた人の気持ちを無視するような態度を取ってしまうと思った。
そして、そんな時に彼にまた説教されたら俺は取り返しのつかないような態度を
彼にとってしまうと思った。
そんなことより俺は誰でもいいから自分の気持ちを理解して欲しかったんだと思う。
俺が何をしたらいいのか誰でもいいから教えて欲しかった。
そうでないと本当に自分がどうなってしまうかわからなかった。
そして彼を初めて自分から飲みに誘った。
彼は俺の話を一通り聞いてからこう言った。
"そっか、話してくれてありがとう。でも、それはコージ君の力不足だよ。"
結局この人も俺の気持ちを判ってくれないのかと話したことを後悔した。
だけど、続けて彼はこういった。
"誰にも話したことはないけど、俺もコージ君と同じような経験があるんだ。
(中略)
間違いなくこれからコージ君は成長するよ。人生の肥やしみたいなもんだね。"
ありきたりの言葉のようだけど、不思議と少しだけ気が楽になった。
そのあたりからちょくちょくと一緒に飲むようになり、
いろんなことを語り合った。
俺は人生の節目節目で
"この人に会うために今俺はここにいるんだな"
と思える人に出会ってきた。
だけど、ケニアに来てもなかなかそういう人に出会えなくって
"ケニアに来たのは間違いだったのかもしれない"
と感じることもあった。
だけど今は思う。
彼に出会えたことはこの先の自分に大きく影響を与える。
ケニアに来て良かったと思える。
人に感謝するって意味。
まだまだかもしれないけれどあの頃よりはわかってきたと思う。
残り半年。
彼に胸を張って再会するためにもケニアでがんばっていきたいと思う。
ありがとう。Dr.G

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